元総支配人が旅のコツ教えます

袖振り合うも他生の縁。風の吹くまま、気の向くまま、縁を求めた旅日記です。

今も忘れぬ、女将の一期一会

こんにちは、ダンディです。

 

今日は先日の続きの前に、今回の若き二人の旅人の『途中検証』と『一期一会』について書き始めます。

 

さて、ホテルや旅館はどこまでリクエストに応えれるか?

私の経験を挙げてみましょう。

 

【 食事 】

◇そばアレルギー、卵アレルギー、しいたけが苦手、鶏肉苦手……。

 このあたりはよくあること。問題ない。

 

◇料理全ての味付けを薄めに、食材全てを細かくカットして……。

 これも、料理長に頼めば何とか対応できる。

  日頃の調理場との良好な関係が大事。

 私は料理長とはもちろん、二番手、三番手、若い者連れてご飯や、飲みに。

 

◇極度のそばアレルギー。

 そば粉の香りでもダメだから、その日の宿泊客全員の食事を見直してもらいたい。

 これは、正直無理。(これは本当にあった話。なぜ無理なのかまで訊かれました)

 

◇結婚記念日。サプライズで奥さんに感謝を伝えたい。

 大歓迎。得意中の得意。

 こちらからいろいろ提案し、演出をご主人と丁寧に打ち合わせ。

 旅館からのプレゼントもご主人、奥様に内緒で準備。

 

このように、お客様(宿泊客)のリクエストに対しては、相応に応えてきた。

しかし、残念なことに全てのホテルや旅館が対応できるわけではない。

室数が多く全宿泊客に食事を提供する大規模ホテルでは中々難しい。

また、小規模旅館であっても出来ないところもある。

アレルギー、苦手なものは自己責任でというところもたくさんある。

 

皆さんにお勧めするのは、予約する前に対応が出来るかを確認することだ。

 

例えば、前述からの若い女性の場合。

予約時に、メールや備考欄にメッセージを添えて予約していた。

もし、そういう場合は確認の電話があった時に、サプライズの件をもう一度口頭で念を押すことだ。

但し、予約確認の電話をしないホテルや旅館もある。(私には信じられないが)

 

その際は、相手の名前をしっかりと聞くことが大事。(これ重要)

到着した際に「〇〇さんに、先日からお世話になりました。お礼を言いたいので、今おられますか」と言えば、もう心配ない。

スタッフは、名前を覚えてもらったり、何事にも頼られるのは嬉しいものである。

宿泊日までに予算や人数など、いろいろ変更があったりすれば電話で「〇〇さんおられますか?」と指名して何ら問題ない。

もし、相手がおらず、他のスタッフが対応したら。

「〇〇さんには今まで、いろいろと無理ばかり言ってお世話になってすいません。皆さん丁寧に教えていただいてありがとうございます。あなたのお名前は?」って調子で言えばもう安心。

宿泊当日まで何度も何度も質問しても『全然OK』です。

 

◇一期一会

前回、一期一会と書きました。

元々、茶道、お茶会での言葉ですね。

 

『主』(あるじと読んでね・・・この場合、ホテルや旅館)と『客人』(この場合、宿泊者)、お互いが誠意を尽くしあい、この一瞬の時間や空間を共にする。

私も、ある旅館で、女将さんから徹底してこの精神を学ぶことが出来ました。

「今見えるこの月や星たち、心地いいこの風、川の音、灯篭の淡く揺れる灯り、咲いている花、あなたのその素敵な笑み、これらはこの一瞬しか共有できない空間であり時間なの。皆さんと出逢えたのも何かの縁。この貴重な縁、出逢いをお互いが大切にそして楽しみましょう。それが一期一会なのよ」

いつも、お客様とそう話す女将さんの笑顔がいまだに浮かびます。

 

長くなりましたが旅のコツ、要は、せっかくの旅、思い出残るような旅をしたい。

『納得するまで、とことんリクエストしていい』ということでした。

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。

時間あれば、後ほど先日の続き書きます。   

妻の抗いがたい魔力、いいえ魅力

 

こんにちは、ダンディです。

 

昨日の続きを書いていきます。

 

若い女性宿泊客は、彼氏の誕生日のお祝いをサプライズで演出して驚かせようと、何日も前から彼女なりに一生懸命に考え、予約の際もメッセージをメールや予約の備考欄にケーキを出すタイミングまで書き込んでいたそうです。

彼氏の大好きなケーキも、彼氏に見つからないように必死に隠してホテルに持ち込み、彼氏がお風呂に行った隙にフロントに預け、夕食時にデザートが出た後で、ロウソクの火が灯されたケーキが出てくる……そこで彼氏にプレゼントを渡す……そんなサプライズだったそうです。

メールにも備考欄にも書いた。

フロントへも直接ケーキを渡した。

彼女の準備は万端だった。

 

しかし、事件は起きてしまった。

 

二人のテーブルは、私たちのテーブルの隣の隣の隣。

隣の隣の隣といっても、表情が確認できるくらい近い。

二人の食事担当のスタッフに代わり、支配人らしき男性が何度も頭を下げてお詫びをしていた。

誕生日を迎えた本人である男性は笑顔だったが、サプライズを企画した女性はまだ俯いていた。

男性は納得したうえで、支配人を下がらせた。

 

ここから物語は動き出す。

 

妻   「さぁ、元総支配人。あなたならどうするの?」

私   「俺なら?うーん、謝るしかないよな」

妻   「それだけ?」

私   「何かサービスしようにも、彼女のあの落ち込み様を見てるとね」
妻   「何もしないわけ?」
私   「何かするにしても、このタイミングでは火に油を注ぐようなもんだ」
妻   「じゃ、いつ、どうするの?」
私   「まずは、謝る。そして同時に作戦を1~10くらい考える」

妻   「ふーん、呑気なものね元総支配人も」

 

妻は手を挙げて、係をテーブルに呼び「支配人をここに来るように言って」と言った。

支配人は、(また何かミスがあったのか)という緊張の面持ちでやって来た。

 

妻   「フルボトルの美味しい赤ワインを向こうのテーブルにプレゼントして」

私   「おいおい、大丈夫か?」

妻   「ワインは私たちからと。支配人が持って行ってくださいね」

支配人 「かしこまりました。ありがとうございます」

 

支配人が若い二人の席にワインを持って行き、私たちの席を指しながら二人に案内した。

若い二人は、驚いた表情をしていたが、二人そろって会釈してきた。

妻はウィンクして応えた。

夕食会場から一組、二組と席を立ち始めた。

会場には若い旅人たちが五、六組しか残っていなかった。

すると、若い二人が私たちの席に、ワインのお礼をしにやって来た。

若い女性 「ワインありがとうございます」

妻    「大浴場で一緒だったの覚えてる?」

若い女性 「???……思い出しました。背中を流したあった……」

妻    「そう、私」

二人は大笑いしている。

妻    「ケーキ食べた?」

若い女性 「まだですけど」

妻    「こっちに持ってらっしゃい」

 

彼氏が、ケーキを私たちのテーブルに持って来た。

 

妻    「ほら、元総支配人、得意の歌をお願い」

 

歌が得意ではないが、元来サプライズ演出が大好きな元総支配人である。

私は席を立ち、「恐れ入りますが、若い二人のために、よかったら一緒に歌っていただけたら幸いです。ほら、支配人も、スタッフの皆さんもこっちに来てよ」

夕食会場は若い旅人たちばかり数組だったので、皆が気持ちよく賛同してくれた。

「照明を暗くしましょうよ」

「輪になりましょうよ」

「ほら、二人は真ん中に」

あちこちから演出を楽しむ若い旅人たちの声が聞こえた。

 

おいおい、最近の若者も捨てたもんじゃないぞ!!!

 

旅人たち、旅館のスタッフたちみんなで彼氏のために『HAPPY BIRTHDAY』を大合唱した。

彼女は泣きだした。今度はうれし涙だ。

 

主と客人たち、お互いが誠意を尽くしあう。

まさしく、これが一期一会だ。

 

 

まだ、この話は続きます。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

 

 

 

サプライズだからね!!! えっ、なんで今ケーキ出すの?

 

こんにちは、ダンディです。

 

ホテルや旅館では、一般の会社と同様に必ず朝礼がある。

但し、信じられないかもしれないが朝礼や、終礼がない先もある。

たいがい、そういう先はサービス面や接遇面で問題があり、口コミの点数も悪いことが多い。(例外もあるが)

なぜ、点数が悪いか……それは、スタッフ全員が情報を共有できていないからだ。

まぁ、そういう先は自社の口コミなんて興味がないか、読んでもいないだろう。

中には、せめて自分だけでもと孤軍奮闘しているスタッフがいることも、事実存在していることを承知している。

 

   ◇◇◇◇◇◇ ◇◇◇◇◇◇

 

「あー、疲れが溜まってるよー。肩がガチガチ。ねぇ肩と腰をマッサージお願い。ついでにふくらはぎもねー」

と妻が言う。

言う前に、既にうつ伏せの体勢だ。

 

私は妻のリクエストをいつものように忠実に実行に移す。

「たまには、温泉に連れてってよ」

私が汗を拭き拭き揉んでいる最中、次のリクエストだ。

私はそのリクエストに応えるべく、後刻近場の温泉旅館を楽天トラベルから予約した。

 

   ◇◇◇◇◇◇  ◇◇◇◇◇◇ 

 

事件が起きたのは夕食の時だった。

私たちの席は大広間だった。

妻も私も夕食会場は個室だろうが、半個室だろうがあまり気にしない。

そういうところは非常に助かる。

夕食会場の大広間に入ると、大勢の旅人たちが夕食を楽しんでいた。

温泉を楽しんで、二人で酒をチビチビ飲みながら前菜を食べていると、奥の席から若い女性の声が聞こえた。

 

若い女性宿泊客   「どうして、今ケーキ出すの。あれだけ頼んでたでしょう」

スタッフ      「??????」

若い女性宿泊客   「デザートの後に出してくださいってあれだけお願いしたのに」

スタッフ      「申し訳ありません」

若い女性宿泊客   「彼氏の誕生日をサプライズでお祝いしようと思っていたのに」

スタッフ      「本当に申し訳ありません」

 

若い女性はガックリと俯いて、悪夢を見てしまったかのように首を左右に振っているのが私たちの席から見えた。

連れの彼氏は意味が分からずキョトンとしている。彼氏へは内緒のサプライズ企画だから当然だ。

若い男性宿泊客   「まぁ、いいじゃないか。もう大丈夫、下がっていいですよ」

 出来た青年である。若いスタッフに声を掛けた。

女性の方は肩を震わせ泣いていた。

女性は、今回の旅行を相当楽しみにしていたのだろう。

 

こういう業界ではミスがないことが絶対である。

99.9%上手くいっても、1つのミスがあっては『0』となる。

 

しかし、残念ながら、人間というものはミスをするものだ。

 

本来ならば、こういうミスをいかに解決するかが総支配人や支配人の腕の見せ所である。

 

この話、まだまだ続きます。

この若い二人に、なんと『妻』が絡み始めます。

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

 

 

旅の前に 口コミ観察

こんにちは、ダンディです。

 

皆さんは、ホテルや旅館を予約するときはどうしてますか?

ほとんどの人はネットを利用し、じゃらん楽天トラベル等の専用サイトから予約するでしょうね。

 

私は楽天トラベルを使う。

それも、口コミを直近一年位さかのぼって読んで。

せっかくお金を支払って宿泊するわけだからね。

せめて、口コミ点数は最低でも4.2点は欲しい。

この「4.2」が業界では平均点と言われている。

 

当然、高い宿泊代を出すことが出来れば、満点の5点に近い宿泊先を容易に探すことが出来る。

但し、ほとんどの人は、安くてサービスの良い(コスパ高い)先を苦労して探す。

 

温泉が目的  体がふやける程肌を潤したい

料理が目的  美味しい料理やお酒をたらふく味わいたい

部屋が目的  離れの部屋、貴賓室等異空間をたまには楽しみたい

 

夫婦旅    とにかく妻孝行したい

恋人旅    邪魔者不要 二人だけの世界さえあればいい

家族旅行   疲れを求める究極の旅

女子会    浴びるほど飲んで飲み会三昧

記念日旅行  還暦祝、古希祝等々たまには親孝行  

 

人それぞれ旅の目的やスタイルが違うから、宿泊先を探すのはたいへんだ。

でも、そういう先を探している時間もまた楽しいものだ。

 

「あっちが安くていい」

「こっちの方が料理が美味しそうでいい」

「お風呂の種類はそっちの方が多くていい」

「露天風呂はあるのか?」

「部屋食があるほうがいい」

「うーん、決めれない」

「じゃぁ、じゃんけんで決めよう」

「いや、もう少し探してみよう」

普段、共通の話題や会話が中々見いだせない中、『旅に出る』ということで、家族でそんな会話が生まれるだけでも楽しいものだ。

 

いろんなリクエストがあれば、お目当てのホテルや旅館に直接問い合わせても全く問題ない。

様々なリクエストに対して、積極的に提案してくれるスタッフがいればしめたものである。

まぁ、そういうスタッフがいるところは、たいがい口コミに書いてあることが多い。

サイトに紹介されている部屋、大浴場、お料理の写真だけに目を向けるのでなく、どういうスタッフがいるのか口コミをよく読んでいると容易に想像できる。

 

 

妻は、部屋は全く気にしない性格だ。

古くても清潔であれば文句ないらしい。

若い時から海外に住んでいたから……らしい。(根拠がわかりにくいが、けんかになるのであえて理由は訊かないようにしている)

特別室や貴賓室なんて毛頭考えていない。(適当な部屋が見つからず、仕方なくたまに私がスィートを予約すると、妻は支払い時に私のAMEXカードを勝手に使う)

食事は酒とつまみがあればいい。(八代亜紀の世界だ)

こんな妻だが、接客態度にはうるさい。

これだから、口コミをよーく読むようになった。

「元総支配人の眼もたいしたことないわね」と言われないようにするためだ。

 

 

しばらくは、口コミ観察は続く予定。

 

 

 

 

 

徒然なるままに、袖振り合う

はじめまして、ダンディです。

 

はてなブログは初めての記事投稿のため、操作がわからず年甲斐もなく感情を抑えきれず、震える手でキーボードを叩き、あらゆるサイトを参考にさせていただき何とかここまで来た次第。

 

さて、私は元ホテルマンとして(詳細は今後小出しに書いていく予定)幾千もの出逢いをしてきた。

同時に私自身が旅人として、いろんな温泉地や山々を巡り、人や自然と触れ合ってきた。

旅の醍醐味は「酒」、「湯」、「縁」と思う。(あくまでも私見

前世から幾千もの人と出逢い、生死を重ねて、何らかの宿命や因縁を背負って今生の魂は今なお出逢いを求め続けている……と思う。

旅に「縁」は付きものである。

知らぬ者同士が袖を振り合い、いつしか会話が始まる。

旅ではよくあることだ。

出逢いは、宿命で定められたものもあるかもしれないが、自分で作り出す部分もあると思う。

出逢えるはずであった人に出逢えず、出逢えないはずの人に出逢ってしまう、出逢えるべくして出逢う、縁はそういうものかもしれない。

少しばかり気取って書いてみたが、旅、酒、そして甘いもの(特にあんこ系)を愛してやまない50男。

 

次回からはそんな出逢い、旅の楽しみ方を思いつくまま書いていくつもり。