元総支配人が旅のコツ教えます

袖振り合うも他生の縁。風の吹くまま、気の向くまま、縁を求めた旅日記です。

サプライズだからね!!! えっ、なんで今ケーキ出すの?

 

こんにちは、ダンディです。

 

ホテルや旅館では、一般の会社と同様に必ず朝礼がある。

但し、信じられないかもしれないが朝礼や、終礼がない先もある。

たいがい、そういう先はサービス面や接遇面で問題があり、口コミの点数も悪いことが多い。(例外もあるが)

なぜ、点数が悪いか……それは、スタッフ全員が情報を共有できていないからだ。

まぁ、そういう先は自社の口コミなんて興味がないか、読んでもいないだろう。

中には、せめて自分だけでもと孤軍奮闘しているスタッフがいることも、事実存在していることを承知している。

 

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「あー、疲れが溜まってるよー。肩がガチガチ。ねぇ肩と腰をマッサージお願い。ついでにふくらはぎもねー」

と妻が言う。

言う前に、既にうつ伏せの体勢だ。

 

私は妻のリクエストをいつものように忠実に実行に移す。

「たまには、温泉に連れてってよ」

私が汗を拭き拭き揉んでいる最中、次のリクエストだ。

私はそのリクエストに応えるべく、後刻近場の温泉旅館を楽天トラベルから予約した。

 

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事件が起きたのは夕食の時だった。

私たちの席は大広間だった。

妻も私も夕食会場は個室だろうが、半個室だろうがあまり気にしない。

そういうところは非常に助かる。

夕食会場の大広間に入ると、大勢の旅人たちが夕食を楽しんでいた。

温泉を楽しんで、二人で酒をチビチビ飲みながら前菜を食べていると、奥の席から若い女性の声が聞こえた。

 

若い女性宿泊客   「どうして、今ケーキ出すの。あれだけ頼んでたでしょう」

スタッフ      「??????」

若い女性宿泊客   「デザートの後に出してくださいってあれだけお願いしたのに」

スタッフ      「申し訳ありません」

若い女性宿泊客   「彼氏の誕生日をサプライズでお祝いしようと思っていたのに」

スタッフ      「本当に申し訳ありません」

 

若い女性はガックリと俯いて、悪夢を見てしまったかのように首を左右に振っているのが私たちの席から見えた。

連れの彼氏は意味が分からずキョトンとしている。彼氏へは内緒のサプライズ企画だから当然だ。

若い男性宿泊客   「まぁ、いいじゃないか。もう大丈夫、下がっていいですよ」

 出来た青年である。若いスタッフに声を掛けた。

女性の方は肩を震わせ泣いていた。

女性は、今回の旅行を相当楽しみにしていたのだろう。

 

こういう業界ではミスがないことが絶対である。

99.9%上手くいっても、1つのミスがあっては『0』となる。

 

しかし、残念ながら、人間というものはミスをするものだ。

 

本来ならば、こういうミスをいかに解決するかが総支配人や支配人の腕の見せ所である。

 

この話、まだまだ続きます。

この若い二人に、なんと『妻』が絡み始めます。

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。